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親が亡くなり、借金や連帯保証があるかもしれないと分かったとき、期限内に相続放棄(借金も含めた遺産の一切を引き継がないと家庭裁判所に申し出る手続き)をしたいと考える人は少なくありません。ところが、いざ自分で進めようとすると「結局どの戸籍を、誰の分まで集めればいいのか」で手が止まります。しかも、この必要書類は放棄する人が亡くなった方とどういう続柄かによって大きく変わり、配偶者や子どもなら少なく済む一方、親や兄弟姉妹になると集める戸籍が一気に増えます。
結論から言えば、相続放棄の必要書類は「申述人(放棄する本人)が第何順位の相続人か」で決まります。共通して要る書類に、続柄ごとの追加分を足す、という組み立てです。まずは自分の続柄を表で確認し、必要な戸籍の範囲を把握してから集め始めるのが、二度手間と追加取得を防ぐいちばんの近道です。
相続放棄の必要書類は「続柄」で決まる

家庭裁判所に相続放棄を申し出る(これを「申述(しんじゅつ)」といいます)ときの添付書類は、大きく「全員に共通するもの」と「続柄によって追加されるもの」に分かれます。まず共通する書類は次の2つです。
- 相続放棄の申述書(裁判所の様式に記入。書き方は相続手続きの費用相場ではなく別記事で扱っています)
- 被相続人(亡くなった方)の住民票除票または戸籍附票
- 申述人(放棄する本人)の戸籍謄本
この共通書類に、下の表のとおり続柄ごとの戸籍を足していきます。ポイントは、順位が下がるほど「先順位の相続人がいないこと」を戸籍で証明する必要が出てくるため、必要な戸籍の範囲が広がるという点です。
続柄別の必要書類一覧(自分でチェックできる表)
以下は、裁判所「相続の放棄の申述」ページに掲載されている、申述人の続柄(順位)ごとの添付書類です(2026年9月時点・裁判所公式サイトで確認)。共通書類に、自分の続柄の行の書類を追加してください。
| 申述人の続柄(順位) | 共通書類に加えて必要な戸籍 |
|---|---|
| 配偶者 | 被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 |
| 子・その代襲者(孫、ひ孫など)=第一順位 | 被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本/申述人が代襲相続人(孫・ひ孫)の場合は、本来の相続人(被代襲者)の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 |
| 父母・祖父母など直系尊属=第二順位 | 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本/被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人がいれば、その子(およびその代襲者)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本/被相続人の直系尊属で死亡している人(申述人と同じ代および下の代に限る。例:父母の相続なら祖父母)がいれば、その人の死亡の記載がある戸籍謄本 |
| 兄弟姉妹・その代襲者(甥、姪)=第三順位 | 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本/被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人がいれば、その人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本/被相続人の直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本/申述人が代襲相続人(甥・姪)の場合は、本来の相続人(被代襲者)の死亡の記載がある戸籍謄本 |
広告この記事の結論:相続手続きのnocos
第二順位・第三順位で戸籍が増えるなど自分の続柄で必要書類が変わるため、まとめて相談できる窓口もあります。
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同じ被相続人について、すでに先順位の相続人が相続放棄の申述をしていて必要な戸籍が家庭裁判所に提出済みのときは、重複する戸籍を再度出さなくてよい場合があります。判断に迷うときは、申述先の家庭裁判所に電話で確認すると確実です。
なぜ第二順位・第三順位で戸籍が増えるのか

配偶者や子どもの場合に必要な戸籍が少ないのは、その人が相続人であることが「被相続人の死亡が分かる戸籍」だけでほぼ証明できるからです。配偶者は婚姻関係で、子は親子関係で、比較的シンプルにつながりが示せます。
これに対して、父母など第二順位の人が相続人になるのは「子(第一順位)が誰もいない、または全員が相続放棄・死亡している」ときに限られます。兄弟姉妹など第三順位はさらに「子も直系尊属もいない」ことが前提です。つまり順位が下がるほど、「自分より先の順位の人がいないこと」を戸籍でさかのぼって証明しなければならず、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(結婚・転籍のたびに作り替えられた古い戸籍を含む全部)が必要になります。
この「出生から死亡まで」の戸籍は、本籍を何度も移していると複数の市区町村にまたがり、取り寄せに時間がかかります。第二順位・第三順位で相続放棄する場合は、戸籍集めだけで数週間かかることを見込んでおくと安心です。相続放棄には申述の期限(自分のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内)があるため、早めに動き出すことが大切です。
自分で集める順序と費用の明細
戸籍は、次の順番で取り寄せると漏れが出にくくなります。
- 被相続人の死亡の記載がある最新の戸籍(除籍謄本)を、最後の本籍地の市区町村で取る
- その戸籍に書かれた「従前の本籍」をたどり、一つ前の戸籍(改製原戸籍・除籍)を請求する。これを出生までさかのぼって繰り返す(第二・第三順位の場合)
- 申述人(自分)の現在の戸籍謄本を取る
- 代襲相続や先順位者の死亡がある場合は、その人の戸籍を追加で取る
費用の内訳は次のとおりです。相続放棄そのものにかかる家庭裁判所への費用は、実は多くありません。
| 費目 | 金額の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 収入印紙 | 800円(申述人1人につき) | 申述書に貼付。裁判所公式で確認 |
| 郵便切手 | 裁判所により異なる | 連絡用。申述先の家庭裁判所に金額を確認 |
| 戸籍謄本・除籍・改製原戸籍の取得実費 | 公式サイトで確認 | 通数は続柄で変わる。第二・第三順位ほど増える |
つまり、自分で手続きする場合の実質的な負担は印紙800円と切手、そして戸籍の取得実費が中心です。手続き自体を専門家に頼む場合、司法書士に相続放棄申述書の作成を依頼したときの報酬の目安は平均40,892円というデータがあります(設例:死亡後3か月以内・戸籍等5通の交付請求+申述書作成。日本司法書士会連合会2024年アンケート)。この金額に、上記の印紙・切手・戸籍実費は別途かかります。
自分でやるか専門家に頼むかの判断フロー

相続放棄は、条件がそろえば自分でも十分に手続きできます。次の判断の目安を参考に、依頼するかどうかを決めてください。
自分で進めやすいケース
- 続柄が配偶者または子で、必要な戸籍が少ない
- 亡くなったことを知ってから3か月の期限にまだ余裕がある
- 本籍の移動が少なく、戸籍をたどるのが難しくない
専門家(司法書士・弁護士)を検討したいケース
- 第二順位・第三順位で、出生から死亡までの戸籍を広く集める必要がある
- 3か月の期限が迫っている、またはすでに過ぎているおそれがある
- 相続財産に手をつけてしまっており、単純承認(放棄できなくなる状態)とみなされないか不安がある
なお、自分が相続放棄をすると、その分の相続権は次の順位の人へ移ります。第一順位の子が全員放棄すれば第二順位の親へ、親もいなければ第三順位の兄弟姉妹へと借金ごと移るため、放棄する場合は次順位になる親族へ事前に伝えておくとトラブルを避けられます。
よくある質問
相続放棄の必要書類は自分でも集められますか
集められます。共通書類(申述書・被相続人の住民票除票または戸籍附票・申述人の戸籍謄本)に、続柄ごとの戸籍を足すだけです。配偶者や子であれば戸籍の数が少なく、比較的短期間で準備できます。
戸籍謄本は何通必要ですか
続柄によって変わります。配偶者や子は少なく済みますが、第二順位・第三順位では被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍が必要になるため、本籍の移動が多いと通数が増えます。まずは自分の続柄の行を上の表で確認してください。
相続放棄の費用はいくらかかりますか
家庭裁判所へ納めるのは収入印紙800円(申述人1人につき)と連絡用の郵便切手(金額は申述先の裁判所により異なる)です。これに戸籍の取得実費が加わります。専門家に依頼する場合は、その報酬が別にかかります。
どこの家庭裁判所に出せばよいですか
被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。自分の住所地ではない点に注意してください。管轄は裁判所の公式サイトで調べられます。
期限の3か月を過ぎたら相続放棄はできませんか
原則は「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」ですが、借金の存在を後から知ったなどの事情では、事情によって認められる場合もあります。期限が迫っている、または過ぎているときは、早めに家庭裁判所や専門家に相談してください。
先に放棄した親族がいると戸籍は減らせますか
同じ被相続人について、先順位の相続人がすでに申述して必要な戸籍を家庭裁判所に提出している場合、重複する戸籍の再提出が不要になることがあります。取得前に申述先の家庭裁判所へ確認すると無駄がありません。
戸籍を集める前に注意することはありますか
相続財産を使ったり処分したりすると、相続を承認したとみなされて放棄できなくなるおそれがあります。放棄を検討している間は、預貯金の引き出しや遺品の売却などを控えるのが安全です。
情報は2026年9月時点のものです。必要書類や手数料は制度改正や各家庭裁判所の運用で変わることがあるため、手続き前に裁判所の公式サイトで最新の内容を確認してください。
参考・出典
- 裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
- 日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート」(2024年3月実施) https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/11/2a2e2c594bc4cd9ff2ca0f6d916db85e.pdf

