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親が亡くなって実家の名義を自分に変えようと、司法書士に頼まず相続登記を自分でやると決めた人が、いざ申請書の用紙を前にして手が止まる場所はだいたい決まっています。当事者や不動産の欄は権利証や固定資産税の通知書を見ながら写せますが、「課税価格」と「登録免許税」の2つの欄だけは、自分で数字を計算して書き込まなければならないからです。ここを間違えると法務局(不動産の登記を扱う国の窓口)から補正(書き直し)を求められ、二度手間になります。
結論から言えば、相続登記の申請書は法務局が配っている様式をダウンロードして、同じく法務局が用意する記入例に沿って埋めていくのが最短です。判断が必要になるのは課税価格と登録免許税の欄だけで、そのどちらも固定資産税評価額という1つの数字から機械的に計算できます。この記事では、様式をどこで手に入れるかと、この2つの欄の埋め方を、実際の数字を使った計算例で示します。相続登記全体にかかる費用の内訳は相続手続きの費用相場をまとめた記事で確認できます。
相続登記の申請書の様式はどこで入手するか

相続登記の申請書は、市販の用紙を買う必要はありません。法務局の公式サイトに「不動産登記の申請書様式について」というページがあり、そこから相続に対応した様式(記入用のひな型)と、埋め方を示した記入例をまとめて入手できます。
相続で使う様式は、相続の形によって分かれています。遺産分割協議で1人が単独で相続する場合、法定相続分どおりに複数人で相続する場合、遺言によって相続する場合で、それぞれ別のひな型が用意されています。自分のケースがどれに当たるかを確かめてから、対応する様式をダウンロードしてください。
様式はWord形式とPDF形式の両方が置かれていることが多く、Word形式なら画面上で直接入力してから印刷でき、書き損じの修正も楽です。あわせて同じページにある記入例のPDFを開き、各欄に何を書くかを一つずつ照らし合わせながら進めるのが確実です。
様式が手に入ったら、まず記入例を見ながら、当事者(亡くなった人と相続する人)の住所・氏名、相続する不動産の表示(所在・地番・家屋番号など)を、登記事項証明書(旧・登記簿謄本)や固定資産税の課税明細書を見て正確に写します。この部分は書き写す作業なので迷いは少なく、実際に自分で判断が要るのは次に説明する課税価格と登録免許税の欄です。
課税価格の欄の書き方
課税価格は、その不動産にいくらの価値があるかを示す欄で、登録免許税を計算するための土台になります。ここに書くのは売買価格でも購入時の金額でもなく、固定資産税評価額です。
固定資産税評価額は、毎年春に市区町村から届く固定資産税の納税通知書に同封される課税明細書に載っています。手元にない場合は、市区町村の窓口で固定資産評価証明書を取得すれば確認できます。相続登記では、この評価証明書を申請書に添付するのが一般的なので、いずれにせよ取り寄せておくことになります。
複数の不動産があるときの合計
土地と建物の両方を相続する場合、あるいは土地が複数の筆(区画の単位)に分かれている場合は、それぞれの固定資産税評価額を合計します。この合計額から1,000円未満を切り捨てた金額が、課税価格の欄に書く数字です。たとえば合計が1,691万3,568円なら、課税価格は1,691万3,000円と書きます。
マンションの場合は、専有部分の建物とあわせて、敷地権(土地の持分)の評価額も加える必要があります。敷地全体の評価額に自分の持分割合を掛けて土地分を出す計算になるため、課税明細書の見方に迷ったら市区町村の資産税課に確認すると確実です。
登録免許税の欄の計算

登録免許税は、名義変更の登記をするときに国に納める税金で、相続登記では課税価格に一定の税率を掛けて求めます。相続による所有権移転登記の税率は、不動産の価額(固定資産税評価額)の0.4%(1,000分の4)です(国税庁タックスアンサー No.7191、2026年9月時点・公式サイト確認)。
計算の手順は次のとおりです。
- 相続する不動産の固定資産税評価額を合計する
- 合計額の1,000円未満を切り捨てて課税価格を出す
- 課税価格に0.4%を掛ける
- 出た金額の100円未満を切り捨てる(1,000円に満たない場合は1,000円)
この最後に出た金額が、登録免許税の欄に書く数字であり、そのまま納める税額になります。納付は、この税額分の収入印紙を用紙に貼るか、金融機関で現金納付して領収証書を貼る方法で行います。
計算例(土地と建物を1人で相続する場合)
実家の土地と建物を、遺産分割協議で子1人が単独で相続するケースで計算してみます。固定資産税評価額が土地1,234万5,678円、建物456万7,890円だったとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 土地の固定資産税評価額 | 12,345,678円 |
| 建物の固定資産税評価額 | 4,567,890円 |
| 評価額の合計 | 16,913,568円 |
| 課税価格(1,000円未満切り捨て) | 16,913,000円 |
| 登録免許税(課税価格×0.4%) | 67,652円 |
| 登録免許税(100円未満切り捨て・納付額) | 67,600円 |
広告この記事の結論:相続手続きのnocos
登録免許税の計算や申請書の記入に不安があれば、司法書士なども在籍する窓口にまとめて相談する方法もあります。
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この例では、課税価格の欄に「16,913,000円」、登録免許税の欄に「金67,600円」と書くことになります。申請書では登録免許税を「金○○円」と頭に「金」を付けて書く様式が一般的なので、記入例で表記も確認してください。評価額が変われば税額も変わるだけで、計算の手順は同じです。
土地が100万円以下なら免税になるか確認する
登録免許税には、相続登記を促すための免税措置があります。相続した土地の価額が100万円以下の場合、その土地分の登録免許税は免税されます(令和9年3月31日まで、国税庁タックスアンサー No.7191、2026年9月時点・公式サイト確認)。地方や山間部の評価額が低い土地、持分だけを相続する場合などで当てはまることがあります。
免税を受けるときは、申請書の登録免許税の欄に、免税の根拠となる条項を記載する必要があります。書き方は記入例に示されているので、免税に当たる場合はその表記どおりに記入してください。免税の対象は土地であり、建物には適用されない点にも注意します。
免税に当たるかの判断フロー
- 相続するのが土地か → 建物のみなら免税の対象外
- その土地の固定資産税評価額が100万円以下か → 超えるなら通常どおり0.4%で計算
- 申請が令和9年3月31日までか → 期限内なら免税の記載を加えて申請
3つすべてに当てはまれば、その土地分の登録免許税はかかりません。土地と建物を一緒に相続し、土地だけが100万円以下という場合は、土地は免税、建物は0.4%で計算という組み合わせになります。当てはまるか迷うときは、申請前に管轄の法務局に電話で確認しておくと補正を避けられます。
申請書ができたら確認しておきたい点

課税価格と登録免許税の欄が埋まれば、申請書の山場は越えています。提出前に、次の点をもう一度見直しておくと、法務局での補正を減らせます。
- 不動産の表示が登記事項証明書と一字一句合っているか(所在・地番・家屋番号・地積など)
- 相続する人の住所・氏名が、添付する住民票の記載と合っているか
- 課税価格が固定資産税評価証明書の金額と一致しているか
- 登録免許税の税額分の収入印紙を貼る台紙(または領収証書)を用意したか
- 遺産分割協議書や戸籍など、必要な添付書類がそろっているか
相続登記は、申請書そのものよりも戸籍や評価証明などの添付書類をそろえる手間のほうが大きく、また2024年4月からは相続登記が義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由なく怠った場合に10万円以下の過料の対象となります(法務省、2026年9月時点・公式サイト確認)。自分で進めるのが難しいと感じたら、費用の目安を確認したうえで専門家に頼む選択肢もあります。
よくある質問
申請書の用紙はどこで買えばいいですか
買う必要はありません。法務局の公式サイトから相続用の様式を無料でダウンロードでき、Word形式なら画面上で入力して印刷できます。あわせて同じページの記入例を見ながら埋めるのが確実です。
課税価格には売買価格を書くのですか
いいえ。書くのは固定資産税評価額です。固定資産税の課税明細書や、市区町村で取れる固定資産評価証明書に載っている金額を使い、複数の不動産があれば合計して1,000円未満を切り捨てた額を記入します。
登録免許税はいくらになりますか
相続登記の税率は課税価格の0.4%です。課税価格に0.004を掛けて100円未満を切り捨てた金額が納付額になります。評価額の合計が約1,691万円の例では、登録免許税は67,600円でした。
登録免許税がゼロになることはありますか
相続した土地の価額が100万円以下の場合、その土地分は免税されます(令和9年3月31日まで)。建物は対象外です。免税を受けるには申請書に根拠となる条項の記載が必要なので、記入例で書き方を確認してください。
評価額が年の途中で変わったらどの金額を使いますか
登録免許税の計算には、申請する年度の固定資産税評価額を使います。年度をまたぐ場合はどの年度の評価証明を添付すべきか変わることがあるため、迷うときは管轄の法務局に確認すると確実です。
数字を間違えて提出したらどうなりますか
法務局から補正(書き直し)の連絡が入り、正しい金額に直して再提出することになります。すぐに取り返しがつかなくなるわけではありませんが、二度手間になるため、提出前に評価証明の金額と計算を照らし合わせておくと安心です。
参考・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.7191(登録免許税の税額表・相続登記の税率0.4%・土地100万円以下の免税) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
- 法務省「相続登記の申請義務化について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

