相続登記の必要書類|戸籍と評価証明の集め方

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親が亡くなり、実家の名義を自分に変えようと法務局のサイトを開いたものの、必要書類の欄に「被相続人の出生から死亡までの戸籍」「固定資産評価証明書」と専門用語が並んでいて、どこで何を何通取ればいいのか分からず手が止まる。相続登記(亡くなった人の不動産の名義を相続人に変える手続き)を自分でやろうとする人が、最初につまずくのがこの書類集めです。

迷わないための基準はひとつです。必要書類は「どのケースでも共通して要る書類」と「相続の決め方(遺産分割協議・法定相続・遺言)によって変わる書類」の二層に分けて考えます。まず共通分を集めながら、自分がどのケースに当たるかを決め、そのケース固有の書類を足す。この順番で動けば、法務局へ持ち込む書類の抜けがほぼなくなります。以下に取得先まで含めた一覧表を用意しました。この記事の表を、書類の取得先の基準として使ってください。

相続登記の必要書類一覧|戸籍と評価証明はどこで取るか

役所のカウンターで書類を整理する人の手元
役所で手続きを進める様子(イメージ)

まず、遺産分割協議で名義を決めるもっとも多いケースを基準に、必要書類と取得先を一覧にします。戸籍関係は市区町村役場、評価証明は不動産の所在地の役所(東京23区は都税事務所)、申請書は自分で作成します。

書類 内容・役割 取得先
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで) 相続人が誰かを確定するための連続した戸籍。改製原戸籍・除籍を含む 本籍地の市区町村役場
被相続人の住民票の除票(本籍記載あり) 登記簿上の住所と戸籍上の人物が同一だと示す 最後の住所地の市区町村役場
相続人全員の戸籍謄本(抄本) 相続人が現在も生存していることの確認 各相続人の本籍地の市区町村役場
新しく名義人になる相続人の住民票 登記簿に記載する新所有者の住所を証する その相続人の住所地の市区町村役場
固定資産評価証明書(最新年度) 登録免許税を計算する基礎になる評価額 不動産所在地の市区町村役場(東京23区は都税事務所)
遺産分割協議書 誰がどの不動産を取得するかの合意書。相続人全員が実印で押印 相続人が作成(自分で作れる)
相続人全員の印鑑証明書 協議書の実印が本物だと証する 各相続人の住所地の市区町村役場
相続関係説明図 家系図の形で相続関係を示す図。原本還付を受けやすくなる 相続人が作成
登記申請書 法務局に提出する申請の本体。法務局の様式に沿って作成 相続人が作成(法務局サイトに様式あり)

戸籍謄本・住民票・印鑑証明書・評価証明書には市区町村ごとに交付手数料がかかりますが、金額は自治体によって異なるため、請求前に各役場の窓口かサイトで確認してください。戸籍は近年始まった広域交付制度により、本籍地が遠方でも最寄りの市区町村役場でまとめて請求できる場合があります(対象や取扱いは役場に確認)。

3つのパターンで変わる添付書面(協議・法定相続・遺言)

法務局は相続登記の申請書様式を「遺産分割協議の場合」「法定相続の場合」「遺言の場合」の3類型で案内しています。上の共通書類に、次の書類を足し引きします。

遺産分割協議で決める場合

相続人全員で話し合って取得者を決めるケースです。共通書類に加えて遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が必要になります。一覧表がそのまま当てはまるのがこのパターンです。

法定相続分どおりに登記する場合

民法で定めた割合(法定相続分)どおりに共有名義で登記するケースです。遺産分割協議書と印鑑証明書は不要で、共通の戸籍関係と評価証明で申請できます。ただし共有名義には後で売却や再分割がしにくいという別の負担があるため、選ぶ前に検討が要ります。

遺言書がある場合

遺言で不動産の取得者が指定されているケースです。遺産分割協議書は不要で、代わりに遺言書を添付します。自筆証書遺言(手書きの遺言)は、法務局の保管制度を使っていない場合、家庭裁判所の検認(遺言の内容を確認する手続き)を経た遺言書が必要です。公正証書遺言(公証役場で作る遺言)は検認が不要です。

戸籍は出生から死亡まで|自分で集める順序

相続登記の必要書類でもっとも手間がかかるのが、被相続人(亡くなった人)の「出生から死亡までの戸籍」です。戸籍は結婚・転籍・法改正のたびに作り替えられているため、1通では足りず、複数の役場にまたがることがあります。

  1. まず最後の本籍地の役場で「死亡が記載された戸籍」を請求する
  2. その戸籍に書かれた「一つ前の本籍地・従前戸籍」をたどり、順に古い戸籍を請求する
  3. 出生の記載がある戸籍にたどり着くまで繰り返す

窓口で「相続手続きに使うので、この方の出生から死亡までの戸籍を全部ください」と伝えると、その役場にある分をまとめて出してくれます。次にどこへ請求すればよいかも教えてもらえます。相続人が兄弟姉妹だけの場合など、たどる戸籍が増えるケースでは通数がさらに多くなります。戸籍集めだけを専門家に任せる選択肢もありますが、時間をかければ自分で集められる書類です。

固定資産評価証明書の取り方

役所の窓口で書類を受け取る様子
窓口での手続き風景(イメージ)

固定資産評価証明書は、登録免許税(名義変更にかかる税金)を計算するための評価額を証明する書類です。相続登記に使う場合は最新年度のものを取ります。

取得先は不動産の所在地の市区町村役場(東京23区は都税事務所)で、その市区町村内にある物件が対象です。複数の市区町村に不動産がある場合は、それぞれの役場で取得します。同じ役場内に持っている物件を漏れなく確認したいときは、名寄帳(その人が所有する不動産の一覧)を併せて取ると、私道部分など見落としがちな土地の把握に役立ちます。

相続登記の費用の内訳|登録免許税の計算例

書類がそろったら、法務局に納める登録免許税を計算します。相続による所有権移転の登録免許税は、不動産の価額(固定資産税評価額)×0.4%(1,000分の4)です。

たとえば固定資産税評価額の合計が1,000万円の土地・建物を相続する場合、登録免許税は次のようになります。

  • 1,000万円 × 0.4% = 40,000円

さらに、土地については価額が100万円以下のときは登録免許税が免税されます(令和9年3月31日までの措置)。地方の小さな土地や持分では、この免税が使える場面があります。

自分で申請すれば専門家への報酬はかかりませんが、上の登録免許税と戸籍・証明書の実費は自分でやっても残ります。司法書士に相続登記を依頼した場合の報酬は、土地1筆と建物1棟・評価額合計1,000万円・戸籍等5通・遺産分割協議書と相続関係説明図の作成・申請代理という設例で平均74,888円という調査結果があります(日本司法書士会連合会の2024年アンケート)。この金額は相続人や不動産の数で大きく変わります。費用全体の考え方は実家の名義変更にかかる費用相場の記事で整理しています。

自分で申請するか判断するフロー

書類の一覧を見て、自分で法務局に申請するか、専門家に頼むかを迷ったら、次の条件で切り分けます。

  • 相続人が配偶者と子など少人数で、全員が協力的 → 自分で進めやすい
  • 不動産が1〜2件で、所在地が近い → 評価証明・戸籍集めの負担が小さく、自分向き
  • 相続人に兄弟姉妹や甥姪が入る、戸籍が何代もさかのぼる → 戸籍集めが重く、代行や依頼を検討
  • 相続人の一部と連絡が取りにくい、話し合いがまとまらない → 登記の前に協議の段階で専門家が必要
  • 数次相続(相続が重なっている)や共有持分が絡む → 申請が複雑になり、差し戻しの原因になりやすい

自分で申請する場合でも、なお相続登記の申請は義務化されており、不動産の取得を知った日から3年以内という期限があります(正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象)。書類集めに時間がかかりそうなときは、早めに動くか、期限に間に合わない場合の暫定策を別途確認してください。

差し戻しを防ぐチェックポイント

手元で書類を照合している様子
細部まで慎重に確認する(イメージ)

自分で申請したときに法務局から補正(やり直し)を求められやすいのは、書類の不足そのものより、次のような細部です。提出前に見直してください。

  • 被相続人の戸籍が「出生まで」さかのぼれておらず、途中で途切れている
  • 被相続人の住民票の除票に本籍の記載がなく、登記簿の住所とつながらない
  • 固定資産評価証明書が古い年度のもの、または対象物件が漏れている
  • 遺産分割協議書の押印が実印でない、印鑑証明書と印影が合わない
  • 登記申請書の登録免許税の計算・不動産の表示が登記簿と一致していない

よくある質問

相続登記の必要書類はどこでもらえますか

戸籍謄本・住民票・印鑑証明書は各人の本籍地や住所地の市区町村役場、固定資産評価証明書は不動産所在地の役場(東京23区は都税事務所)で取得します。遺産分割協議書・相続関係説明図・登記申請書は相続人が自分で作成する書類です。

戸籍は何通くらい必要になりますか

ケースによって大きく変わります。被相続人の出生から死亡までを連続して集めるため、転籍や結婚が多い人ほど通数が増え、相続人が兄弟姉妹だけの場合はさらに増えます。まず最後の本籍地の役場で相談し、必要な範囲をたどっていくのが確実です。

被相続人の住民票の除票は必ず要りますか

登記簿上の住所と戸籍上の人物が同一だと示すために使います。除票が保存期間を過ぎて取れない場合は、別の書類で住所のつながりを補うことがあるため、取得できないときは法務局に確認してください。

遺言があれば遺産分割協議書は不要ですか

遺言で不動産の取得者が指定されていれば、その部分について遺産分割協議書は不要です。代わりに遺言書を添付します。自筆証書遺言で法務局の保管制度を使っていない場合は、家庭裁判所の検認を経た遺言書が必要です。

固定資産評価証明書はいつの年度のものを取りますか

相続登記の登録免許税の計算には最新年度の評価証明書を使います。年度の切り替え時期は年度違いに注意し、申請する年度のものを取得してください。

登録免許税はいくらになりますか

固定資産税評価額×0.4%で計算します。評価額の合計が1,000万円なら4万円です。土地で価額が100万円以下のものは、令和9年3月31日までの措置により免税されます。

相続登記は自分でやると必ず安く済みますか

専門家への報酬はかかりませんが、登録免許税と戸籍・証明書の実費は自分でやっても残ります。相続人や不動産が多く戸籍集めが複雑な場合は、時間と手間が大きくなるため、費用だけでなく手間との兼ね合いで判断してください。情報は2026年9月時点のものです。

参考・出典

  • 法務省「相続登記の申請が義務化されました」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
  • 法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
  • 国税庁 タックスアンサー No.7191(登録免許税の税額表) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
  • 日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート」(2024年3月実施) https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/11/2a2e2c594bc4cd9ff2ca0f6d916db85e.pdf
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