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親が亡くなり、相続人は自分と兄の2人。財産は実家(土地・建物)と預金が少し。仲は悪くないので専門家に何十万円も払うほどでもない、遺産分割協議書(相続人全員で「誰が何を相続するか」を決めた合意を書面にしたもの)くらい自分で作れないか——そう考える人は多いはずです。結論から言うと、遺産分割協議書は決まった様式がなく、要件さえ満たせば自分で作成できます。費用がかかるのは書面そのものではなく、添付する印鑑証明書の取得手数料と、その後の相続登記で払う登録免許税だけです。ただし「登記や預金解約でそのまま使えるか」は、記載の正確さと押印の作法で決まります。判断の基準は、不動産や財産を特定できているかと相続人全員の実印と印鑑証明書がそろうかの2点です。
遺産分割協議書 自分で 作成するときにかかるお金

書面を自作する場合、文書作成そのものに料金は発生しません。パソコンで作っても手書きでも有効です。実費として発生するのは次の項目に限られます。
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 印鑑証明書の取得手数料 | 公式サイトで確認 | 相続人の人数分。コンビニ交付だと窓口より安い自治体が多い |
| 用紙・印刷 | 実費のみ | 普通のコピー用紙で可 |
| その後の相続登記の登録免許税 | 不動産の価額×0.4% | 固定資産税評価額が基準(国税庁 No.7191) |
広告この記事の結論:相続手続きのnocos
書式は自由でも実印・印鑑証明書などの実務要件を外すと使えないため、不安なら専門家が在籍する窓口にまとめて相談する方法もあります。
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専門家に遺産分割協議書の作成を依頼した場合の料金は別の記事で扱っています。ここでは「自分で作る」前提で進めます。手続き全体の費用感(実家の名義変更でおおむね約11万円が目安)は、相続手続きの費用相場をまとめた記事で確認してください。
登録免許税の計算例
たとえば実家の土地・建物の固定資産税評価額の合計が1,000万円なら、相続登記の登録免許税は次のとおりです。
- 1,000万円 × 0.4%(1,000分の4)= 4万円
これは遺産分割協議書ができた「後」に、法務局へ相続登記を申請するときに納める税金です。協議書の作成自体とは別の費用である点に注意してください。なお土地の価額が100万円以下の場合は、令和9年3月31日までは登録免許税が免税されます(国税庁 No.7191)。
書式のルール|決まった様式はないが省けない要素がある
遺産分割協議書に法定の書式はありません。縦書き横書きも自由で、タイトルも「遺産分割協議書」で足ります。ただし、後で登記や預金解約に使うことを考えると、次の要素は省けません。
- 被相続人の特定:氏名、最後の本籍、最後の住所、死亡年月日を書く。登記や戸籍と一字一句そろえる。
- 相続人全員が参加していること:一人でも欠けた協議は無効になる。相続人の確定は戸籍で行う。
- 財産の特定:不動産は登記事項証明書(登記簿)どおりに、所在・地番・地目・地積、建物は家屋番号・種類・構造・床面積まで書き写す。預金は金融機関名・支店名・口座番号まで。
- 誰が何を取得するか:「土地建物は長男が取得する」「預金は長女が取得する」と、財産ごとに取得者を明記する。
- 日付:協議が成立した年月日。
- 相続人全員の署名と押印:住所・氏名を書き、実印を押す。
特に不動産の表示は、住所(住居表示)ではなく登記簿上の表記で書くのが要点です。ここが登記簿と食い違うと、法務局で補正や差し戻しの原因になります。地番や家屋番号は登記事項証明書か固定資産税の名寄帳で確認してください。
実印と印鑑証明書の押印ルール
遺産分割協議書を「使える書類」にする最大のポイントが押印です。相続人全員が実印(市区町村に登録した印鑑)を押し、それぞれの印鑑証明書を添付します。認印やシャチハタでは、相続登記や預金解約で受け付けてもらえません。
- 実印を押す:氏名の横に、登録済みの印鑑で押す。かすれや欠けがあると押し直しを求められることがある。
- 印鑑証明書を添える:押した実印が本物であることを証明するため、相続人全員分を用意する。
- 契印・割印:協議書が複数ページにわたる場合は、ページのつなぎ目に相続人全員の実印で契印(ページをまたいで押す印)を押し、一体の書面であることを示す。
- 部数:相続人が各自1通ずつ原本を持てるよう、人数分を作成して全員が押印しておくと後の手続きで困らない。
印鑑証明書は各相続人が自分の住民登録のある市区町村(マイナンバーカードがあればコンビニでも)で取得します。取得手数料が人数分かかる点だけ見込んでおいてください。
印鑑証明書の有効期限はどう扱われるか
「印鑑証明書は3か月以内のものが必要」と聞いたことがあるかもしれません。これは手続きの種類によって扱いが異なります。一方で、銀行の預金解約手続きでは金融機関が独自に「発行後3か月以内」などの期限を設けていることが多いので、実際に手続きする窓口の指定に合わせて取り直すのが安全です。
法務局に通る記載の要件|登記の添付書面として
相続登記の申請では、遺産分割協議書が「不動産を取得する人を証明する書面」として添付書類になります。ここで受け付けられるには、次を満たす必要があります。
- 相続人全員が参加し、全員の実印が押され、全員の印鑑証明書が添付されていること。
- 不動産の表示が登記事項証明書と一致していること。
- 被相続人の表示(本籍・住所・死亡日)が戸籍・除票と一致していること。
- 取得する不動産と取得者が対応して特定されていること。
法務局は登記申請の添付書面として認められる遺産分割協議書の記載例を公開しています。書式の細部に不安がある場合や、不動産の数・相続人が多く記載が複雑になる場合は、無理せず専門家の見積りを取って比較するのも一つの手です。
自分で作る手順(条件→やること)

- 相続人を確定する:被相続人の出生から死亡までの戸籍をそろえ、相続人が誰かを漏れなく確定する。
- 財産を洗い出す:不動産は登記事項証明書、固定資産税の名寄帳で。預金は残高証明で。
- 協議して分け方を決める:相続人全員で「誰が何を取得するか」を合意する。
- 協議書を作成する:上記の必須要素を入れて文書化する。不動産は登記簿どおりに書き写す。
- 全員が署名・実印で押印する:ページが複数なら契印も。
- 印鑑証明書を人数分そろえて添付する。
- 手続きに使う:相続登記、預金解約、証券の移管などに使う。
逆に、相続人の中に判断能力が不十分な人や未成年者がいる場合、行方不明の相続人がいる場合は、自作の協議書だけでは進められず、家庭裁判所での手続き(特別代理人や不在者財産管理人の選任など)が先に必要になります。この場合は専門家に相談してください。
よくある質問
遺産分割協議書は手書きでもいいですか
手書きでもパソコン作成でも有効です。決まった様式はありません。ただし読み違えを避けるため、氏名や不動産の表示は正確に書き、押印は実印で行ってください。
相続人が遠方にいて集まれません。どうすればいいですか
全員が一堂に会する必要はありません。同じ内容の協議書を人数分用意して各自が署名・押印する方法や、一人ずつ順に郵送して署名・押印していく方法(持ち回り)が使えます。全員の実印と印鑑証明書がそろっていることが要件です。
認印でも登記できますか
遺産分割協議書を相続登記や預金解約に使う場合は、実印での押印と印鑑証明書の添付が求められます。認印では受け付けられないのが一般的です。
不動産の住所はそのまま書いていいですか
普段使う住居表示ではなく、登記事項証明書に記載された所在・地番・家屋番号などの登記簿上の表記で書きます。ここが登記簿と一致していないと、法務局で補正や差し戻しの原因になります。
一人がすべて相続する場合も協議書は要りますか
相続人が複数いて、そのうちの一人がすべて取得する場合も、全員が合意したことを示す遺産分割協議書が必要です。この場合の注意点は別の記事で扱っています。
作成にどれくらい費用がかかりますか
書面そのものの作成費用はかかりません。実費は印鑑証明書の取得手数料(人数分)と用紙代程度です。その後の相続登記では、不動産の価額×0.4%の登録免許税がかかります。
専門家に頼むといくらですか
遺産分割協議書の作成を専門家に依頼した場合の料金や、書類だけか登記まで含むかによる違いは別の記事で扱っています。自作に不安がある場合は複数の見積りを取って比較するとよいでしょう。
参考・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.7191 登録免許税の税額表 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
- 法務省 不動産登記法の改正(相続登記の申請義務化)https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
- 法務省 相続登記に関するQ&A https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html

