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親が一人で住んでいた実家を相続し、誰も住まないので売りに出した。ここで「相続した空き家の3,000万円特別控除(正式には被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)が使える」と聞いたものの、確定申告のときに何をそろえればいいのか分からない、という場面は少なくありません。この控除は書類がそろっていないと適用できず、しかも税務署に出す書類の中に、物件のある市区町村でしか発行してもらえない証明書が1枚含まれているのが特徴です。
準備は「税務署に出す添付書類」と「市区町村でもらう被相続人居住用家屋等確認書(ひそうぞくにんきょじゅうようかおくとうかくにんしょ=故人が確かにその家に一人で住んでいて、相続後は空き家だったことを市区町村が証明する書類)」の2本立てで考えると整理しやすくなります。確認書は発行までに時間がかかることがあるため、売買契約が固まった段階で早めに動くのが基準です。以下で、それぞれ何を集め、確認書はどこへどう申請するのかを順に見ていきます。
相続 空き家 3000万円控除の必要書類は「税務署」と「市区町村」の2系統
この特例は譲渡所得(売却で得た利益)から最大3,000万円を差し引ける制度で、確定申告で適用します。申告に必要な書類は大きく次の2系統に分かれます。
- 税務署に添付する書類:譲渡所得の内訳書、売買契約書の写し、登記事項証明書など、売却の事実と物件の情報を示すもの
- 市区町村で発行してもらう書類:被相続人居住用家屋等確認書(故人が一人で住んでいたこと・相続後は空き家だったことの証明)
後者は自分で作れず、物件の所在地を管轄する市区町村に申請して交付を受ける必要があります。ここが3,000万円控除の書類準備で最もつまずきやすい部分です。まずは制度の期限と要件を押さえ、そのうえで確認書の取り方を見ていきます。
先に確認したい適用要件と期限
書類を集める前に、そもそも自分のケースが特例の対象かを確認します。主な要件は次のとおりです(2026年9月時点・国税庁の公式ページで確認)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売却の期限 | 相続開始日(死亡日)から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること |
| 売却代金 | 1億円以下であること |
| 適用される譲渡の期間 | 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡 |
| 建物の要件 | 昭和56年5月31日以前に建築・区分所有建物(マンション等)でない・相続開始の直前に被相続人以外に居住者がいなかったこと |
| 相続人が3人以上の場合 | 令和6年1月1日以後の譲渡で、その家屋を取得した相続人が3人以上のときは控除額が1人あたり2,000万円に縮小 |
広告この記事の結論:税理士ドットコム
被相続人居住用家屋等確認書は市区町村への申請が必要で、控除額は取得相続人の人数によって1人あたり2,000万円に縮小することもあるため、確定申告の進め方を相続に詳しい税理士に相談する方法があります。
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要件の細かな判定は別記事「相続手続きの費用相場|実家の名義変更は約11万円が目安」とあわせて、条件とチェックシートを扱う記事も確認してください。本記事は要件を満たす前提で、書類の集め方に絞ります。
被相続人居住用家屋等確認書の取り方と申請先
被相続人居住用家屋等確認書は、物件が所在する市区町村の窓口(空き家対策や税務、資産税を担当する課など自治体により名称が異なる)に申請します。申請書の様式は国土交通省が定めた全国共通のもので、多くの市区町村がホームページで様式と記入例、必要な添付書類の案内を公開しています。
確認書の申請に添える主な書類
確認書を発行してもらうには、「故人が一人でその家に住んでいたこと」と「相続後に人が住んだり貸したりせず空き家だったこと」を裏づける資料を添えます。一般に次のような書類が求められます。
- 被相続人の除票住民票の写し(故人がその住所に住んでいたことを示す)
- 相続人の住民票の写し
- 家屋の売買契約書の写しなど、売却の事実が分かる書類
- 相続開始から売却までの間、空き家であったことが分かる資料(電気・ガス・水道の使用状況が分かる書類、媒介契約を結んだ宅地建物取引業者が確認した書類など)
ただし添付書類の正確な一覧と組み合わせは、家屋を取り壊して売る場合と建物付きで売る場合、老人ホーム入所後に相続が起きた場合などで変わります。
申請から交付までの流れ
- 市区町村のホームページで確認書の申請様式と添付書類一覧を入手する
- 除票住民票・売買契約書の写し・空き家であったことを示す資料をそろえる
- 物件所在地の市区町村の担当窓口に申請書と添付書類を提出する(郵送を受け付ける自治体もある)
- 市区町村の審査を経て確認書が交付される
- 確認書を確定申告の添付書類に含めて税務署に提出する
交付までの日数は自治体や時期で幅があります。確定申告の直前に慌てないよう、売買契約が成立して売却の見込みが立った段階で申請の準備を始めるのが安全です。
控除額の考え方と書類チェックの明細
控除額は相続人の人数で変わります。数字で見てみます(2026年9月時点)。
たとえば売却代金が3,000万円(1億円以下の要件を満たす)で、取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得が2,500万円だったとします。
- その家屋を1人で相続して売った場合:控除は3,000万円まで使えるため、譲渡所得2,500万円は全額が控除の範囲に収まり、課税される譲渡所得は0円
- 令和6年1月1日以後の譲渡で、その家屋を取得した相続人が3人以上の場合:控除は1人あたり2,000万円に縮小するため、2,500万円のうち控除しきれない分が課税対象として残る(実際の税額計算は取得費や税率の確認が必要)
控除の枠が変わるだけで手取りが大きく動くため、誰が家屋を相続するか(取得相続人の人数)は、書類を集める前の段階で決めておくことが重要です。
提出前の書類チェック明細
| 提出先 | 書類 | 入手元 |
|---|---|---|
| 税務署 | 譲渡所得の内訳書 | 自分で作成(国税庁の様式) |
| 税務署 | 売買契約書の写し | 売却時の契約書 |
| 税務署 | 登記事項証明書など物件情報が分かる書類 | 法務局 |
| 税務署 | 被相続人居住用家屋等確認書 | 市区町村(下段で申請) |
| 市区町村 | 確認書の申請書+添付書類 | 市区町村の様式・除票・空き家の裏づけ資料 |
税務署に出す書類の一部(確認書)を市区町村から取り寄せる、という二段構えになっている点が、この特例の書類準備で見落としやすいところです。
よくある質問
被相続人居住用家屋等確認書はどこでもらえますか
売却した空き家が所在する市区町村の担当窓口です。税務署や法務局では発行できません。様式は国土交通省が定めた全国共通のもので、多くの市区町村がホームページで案内しています。
確認書の発行にはどれくらい時間がかかりますか
自治体や申請が集中する時期によって幅があります。確定申告に間に合わせるため、売買契約が成立し売却の見込みが立った段階で早めに申請するのが安全です。具体的な標準処理日数は物件所在地の市区町村に確認してください。
マンションでも3,000万円控除は使えますか
この特例は区分所有建物(マンション等)を対象外としています。戸建てが基本で、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることも要件です(2026年9月時点)。
相続人が複数いると控除額はどうなりますか
令和6年1月1日以後の譲渡で、その家屋を取得した相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円に縮小します。2人までであれば1人あたり3,000万円のままです。
いつまでに売れば控除の対象になりますか
相続開始日(死亡日)から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。あわせて、売却代金が1億円以下であることも要件です(2026年9月時点)。
書類集めは専門家に頼めますか
確定申告や譲渡所得の計算は税理士、確認書や必要書類の取得サポートは行政書士や司法書士など、依頼先が分かれます。費用や役割の違いは比較記事もあわせて確認してください。
参考・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.4205 相続税の申告と納税 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
- 法務局・国土交通省 被相続人居住用家屋等確認書の申請様式(物件所在地の市区町村の案内を参照)

