相続 行政書士 費用|司法書士との違いとできること

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父が亡くなり、実家の預金の解約と自動車の名義変更、そして相続人全員で交わす遺産分割協議書を用意しなければならない。専門家に頼みたいが、行政書士と司法書士のどちらに何を頼めばいいのか分からない。こうした場面で最初に押さえておきたいのは、行政書士は「書類の作成と収集」を担う専門家で、不動産の名義変更(相続登記)そのものはできないという線引きです。だからこそ費用は「何を頼むか」で決まります。遺産分割協議書の作成なら平均で7万円弱、相続人・財産の調査なら6万円強が目安です。登記まで必要なら司法書士、税金の申告が絡むなら税理士へと、手続きの中身で頼み先を分けるのが、二重払いを避ける基準になります。

相続で行政書士に頼める費用の目安

落ち着いた書斎で書類を見る人の手
大切な書類について考える時間(イメージ)

行政書士の報酬には公的な定価がありません。日本行政書士会連合会が全国の会員に対して行った令和7年度の報酬額統計調査(令和8年1月実施)から、相続に関わる主な業務の平均額と最頻値(最も回答が多かった金額)を抜き出すと、次のとおりです。いずれも消費税込みで、立替金(実費)は含みません。

業務の内容 平均 最頻値 回答数
遺産分割協議書の作成 69,752円 55,000円 705
相続人及び相続財産の調査 61,722円 50,000円 443
遺言書の起案及び作成指導 76,855円 50,000円 459
相続土地国庫帰属の承認申請 113,111円 ― 9(参考値)

(2026年9月時点・日本行政書士会連合会の公表資料で確認)。相続土地国庫帰属(相続した不要な土地を国に引き取ってもらう制度)の承認申請は回答数が9件と少ないため、参考程度の数字と考えてください。実際の見積りは、相続人の人数や財産の種類、集める戸籍の通数によって上下します。

行政書士と司法書士の違い(登記はできない)

相続で名前が挙がる専門家のうち、行政書士と司法書士は業務が一部重なりますが、決定的に違うのが不動産登記の可否です。

行政書士ができること

行政書士は「官公署に提出する書類」や「権利義務・事実証明に関する書類」の作成を業とします。相続では次のような場面で頼めます。

  • 遺産分割協議書の作成(相続人全員が誰が何を取得するかを書き記す書類)
  • 出生から死亡までの戸籍謄本の収集、相続関係説明図の作成
  • 預貯金の解約・払戻しに必要な書類の準備
  • 自動車の相続による名義変更(運輸支局への申請書類の作成・提出)
  • 遺言書の文案づくりの支援

行政書士ができないこと

次の3つは、行政書士の業務範囲の外です。頼み先を間違えると手続きが進みません。

  • 不動産の相続登記。土地や家、マンションの名義を相続人に変える登記申請の代理は司法書士の業務です。行政書士が代理することはできません。
  • 相続税の申告。税務書類の作成・申告代理は税理士の業務です。
  • 相続人同士の紛争の代理・交渉。遺産分割でもめて相手方と交渉したり、家庭裁判所の調停・審判を代理したりするのは弁護士の業務です。

参考までに、司法書士に相続登記を頼んだ場合の報酬は、土地1筆と建物1棟・評価額合計1,000万円・戸籍等5通の取得・遺産分割協議書と相続関係説明図の作成・登記申請代理という設例で平均74,888円(日本司法書士会連合会の2024年アンケート)です。行政書士の遺産分割協議書作成とは設例が異なるため、単純な高い安いの比較にはなりません。

どの専門家に頼むか(判断フロー)

伝統的な日本家屋の鍵が置かれた木製テーブル
家を思わせる鍵の様子(イメージ)

手続きの中身から頼み先を絞ると、迷いが減ります。

  1. 相続財産に不動産があり名義変更が必要 → 相続登記ができる司法書士へ。登記に付随して遺産分割協議書や戸籍収集もまとめて任せられます。
  2. 不動産はないが、預金・自動車・遺産分割協議書だけ整えたい → 行政書士で対応できます。
  3. 相続税の申告が必要(遺産が基礎控除を超える見込み) → 税理士へ。
  4. 相続人同士で分け方がまとまらない → 弁護士へ。

不動産があるかどうかが、行政書士と司法書士を分ける最初の分岐点です。不動産があるなら登記が避けられないため、司法書士に一括で頼んで戸籍収集や協議書作成も含めてもらうと、窓口が一つで済みます。相続手続き全体でいくらかかるか、名義変更を含めた費用の全体像は相続手続きの費用相場をまとめた記事で確認できます。

行政書士に頼む場合の費用明細(例)

木製の机に並べられた複数の公的書類と、書類を整理する手元
書類を整理する様子(イメージ)

不動産がなく、預金の解約と遺産分割協議書の作成を行政書士に頼むケースで、費用のイメージを組んでみます。金額は前掲の統計の平均値を用いた一例で、実際は事務所ごとに料金表が異なります。

  • 相続人・相続財産の調査(戸籍収集を含む): 61,722円
  • 遺産分割協議書の作成: 69,752円
  • 戸籍謄本・住民票などの実費(役所の交付手数料・郵送料): 別途、通数に応じてかかる

報酬の合計はおよそ13万円前後が一つの目安になります。これに戸籍などの実費が加わります。相続人の数が多い、財産が全国に散らばっているといった場合は戸籍の通数が増え、調査の報酬も上がる傾向があります。見積りを取るときは「報酬」と「実費」を分けて示してもらうと、後から金額が膨らむのを防げます。

よくある質問

行政書士に相続登記を頼めますか。

頼めません。不動産の名義変更(相続登記)の申請代理は司法書士の業務です。行政書士には遺産分割協議書の作成や戸籍収集を頼み、登記は司法書士へ、と分けるか、司法書士にまとめて依頼します。

遺産分割協議書の作成費用はいくらですか。

日本行政書士会連合会の令和7年度統計では、平均69,752円、最頻値55,000円です(消費税込・立替金は含まず)。相続人の人数や財産の内容で上下します。

行政書士と司法書士で費用は大きく違いますか。

頼む業務が違うため、単純には比べられません。行政書士の遺産分割協議書作成は平均約7万円、司法書士の相続登記は設例で平均約7.5万円ですが、司法書士の相続登記には別途、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)などの実費がかかります。

相続登記には期限がありますか。

あります。2024年4月1日施行の法律で、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内の登記が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。登記は行政書士では対応できないため、司法書士に相談してください。

相続税の申告も行政書士に頼めますか。

頼めません。税務書類の作成・申告代理は税理士の業務です。遺産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える見込みなら、税理士に相談します。

相続人がもめている場合はどうすればよいですか。

相続人同士の交渉や家庭裁判所の調停・審判の代理は弁護士の業務です。行政書士は当事者間で合意した内容を協議書にまとめることはできますが、対立する相手方との交渉はできません。

参考・出典

  • 日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」 https://www.gyosei.or.jp/about/disclosure/reward
  • 日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート」(2024年3月実施)PDF https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/11/2a2e2c594bc4cd9ff2ca0f6d916db85e.pdf
  • 法務省「相続登記の申請の義務化について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
  • 国税庁 タックスアンサー No.7191(登録免許税の税額表) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
  • 国税庁 タックスアンサー No.4152(相続税の基礎控除) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
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