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親が亡くなり、遺品の中から見慣れないカードローンの明細や消費者金融の封筒が出てきた。故人が家族に借金の話をしていなかったため、いくら残っているのか、そもそも本当に借りていたのかが分からない。こうした状況では、相続するか放棄するかを決める前に、まず「隠れた借金がいくらあるか」を確定させる作業が要ります。
結論から言えば、判断の基準は「調べられる債務を、期限内にできるだけ漏れなく洗い出せたか」です。金融機関からの借入は信用情報機関(個人の借入・返済の記録を集めた機関)3社の開示で大部分を把握でき、そこに載らない個人間の貸し借りや保証債務は別の手がかりから追います。相続放棄には申述できる期間が決まっているため、調査は「知った日から3か月」を意識して進めます。
親の借金を3か月以内に洗い出す理由
相続放棄(プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がない手続き)ができる期間は、裁判所の案内で「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」と定められています(2026年9月時点・裁判所公式で確認)。この3か月を熟慮期間と呼びます。
この期間内に何もしないまま、あるいは故人の預金を使う・借金を返すといった行為をすると、原則として単純承認(すべてを相続したとみなされる状態)になり、後から借金だけを放棄することが難しくなります。だからこそ、財産と借金の全体像を早い段階でつかむ必要があります。借金が資産を上回りそうなら放棄、上回らないなら相続、という判断の材料をこの3か月で作るわけです。
期限の全体像を確認したい場合は、死亡から名義変更までにかかる費用と流れをまとめた相続手続きの費用相場の記事もあわせて確認してください。
信用情報の開示で借入を確認する
金融機関やカード会社からの借入は、次の3つの信用情報機関のいずれかに記録されています。故人がどこから借りていたか分からなくても、3機関すべてに開示請求をすれば、登録されている借入をおおむね網羅できます。
| 機関 | 主に登録される借入の種類 | 加盟している主な業種 |
|---|---|---|
| CIC(シー・アイ・シー) | クレジットカード、割賦販売、一部のローン | クレジットカード会社、信販会社、携帯電話会社など |
| JICC(日本信用情報機構) | 消費者金融、カードローン、事業性の借入など | 消費者金融、信販、一部の銀行など |
| 全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 銀行・信用金庫のローン、住宅ローン、保証会社の代位弁済記録 | 銀行、信用金庫、信用組合など |
広告この記事の結論:相続手続きのnocos
信用情報の開示で見つからない債務もあるため、3か月の熟慮期間内に判断しきれない場合は専門家が在籍する窓口に相談する方法もあります。
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3機関は加盟している業種が異なるため、1社だけでは把握しきれません。たとえば銀行の住宅ローンはKSC、消費者金融はJICC、クレジットのキャッシングはCICというように、借入先によって記録される場所が分かれます。故人の借入先が特定できないときほど、3社すべてに請求する意味があります。
各機関の開示手数料
開示請求には機関ごとに手数料がかかり、請求方法(インターネット・郵送・窓口など)によって金額が変わります。具体的な金額は各機関の公式案内で確認してから請求してください。
法定相続人による開示請求の可否と必要書類
本人が亡くなっている場合でも、法定相続人(民法で定められた相続人)は故人の信用情報の開示を請求できる扱いになっています。請求できる範囲や必要書類は機関ごとに異なるため、事前に確認したうえで書類をそろえます。
開示された書類には、借入先ごとの残高や延滞の有無、保証会社が肩代わり(代位弁済)した記録などが載ります。これが、借金の総額を積み上げるための一次資料になります。
信用情報に載らない借金の調べ方

信用情報機関でつかめるのは、あくまで加盟業者との取引です。次のような債務は3機関の開示には出てこないため、別の手がかりから追う必要があります。
- 個人間の貸し借り(親族・知人からの借入): 借用書、通帳の定期的な入出金、メールや手紙のやり取りを確認する
- 連帯保証・保証債務: 保証契約書、故人あての督促状、他人の借入の返済が通帳から出ていないかを確認する
- 税金・社会保険料・公共料金の滞納: 自宅に届く督促状、役所からの通知を確認する
- 事業の買掛金・未払金: 事業をしていた場合は取引先からの請求書や帳簿を確認する
具体的な作業としては、故人あての郵便物を数か月分ためて開封する、預金通帳の入出金を1〜2年さかのぼる、自宅の書類棚や貸金庫の契約書を確認する、といった地道な確認が中心になります。保証債務は本人が生前に家族へ話していないことが多く、督促が来て初めて発覚することがあるため、督促状の有無は特に注意して確認します。
調べた結果で相続放棄するかを決める判断フロー
洗い出した財産と借金を突き合わせ、次の順で判断すると整理しやすくなります。
- プラスの財産(預金・不動産・株式など)の合計を出す
- 信用情報3機関の開示と督促状・通帳から、マイナスの債務(借金・保証債務・滞納)の合計を出す
- マイナスがプラスを明らかに上回る、または保証債務のように総額が読めない不安がある場合は相続放棄を検討する
- プラスが上回り、内容も把握できているなら相続(単純承認)を検討する
- プラスとマイナスのどちらが多いか判断がつかない場合は、相続財産の範囲でのみ債務を負う限定承認という選択肢もある(相続人全員での申述が必要)
相続放棄を選ぶ場合、家庭裁判所へ支払う費用そのものは大きくありません。裁判所の案内によると、申述に必要なのは収入印紙800円(申述人1人につき)と、連絡用の郵便切手(金額は裁判所により異なる)です(2026年9月時点・裁判所公式で確認)。申述先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 収入印紙(申述人1人あたり) | 800円 |
| 連絡用の郵便切手 | 裁判所により異なる(公式サイトで確認) |
| 戸籍などの取得実費 | 取り寄せる通数により変動 |
費用は小さくても、放棄には見落とせない影響があります。ある順位の相続人が全員放棄すると、借金の返済義務が次の順位の親族へ移る点です。この点は放棄のデメリットとして別の記事で詳しく扱うため、ここでは「自分が放棄したら、次に誰へ連絡すべきかを先に考える」という一点だけ押さえておきます。
3か月に間に合わないときの対処

調査に時間がかかり、3か月以内に判断しきれないこともあります。その場合、家庭裁判所に申し立てて熟慮期間を延ばす方法(期間の伸長)が用意されています。また、借金の存在を過失なく知らなかったといえる事情があるときは、後から放棄が認められる余地もありますが、認められるかは個別の事情によります。いずれも判断が難しいため、期限が迫っているのに調査が終わらない段階で、早めに専門家へ相談するのが現実的です。伸長の具体的な手続きや、限定承認との違いはそれぞれ別の記事で扱います。
よくある質問
親の借金は信用情報を見れば全部分かりますか
金融機関やカード会社からの借入は3機関の開示でおおむね把握できますが、個人間の借入や連帯保証、税金の滞納は信用情報には載りません。通帳や督促状などとあわせて確認する必要があります。
3機関のうち1社だけ請求すれば足りますか
機関ごとに加盟している業種が違うため、1社だけでは漏れが出ます。借入先が特定できないときは、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの3社すべてに請求するのが安全です。
亡くなった親の信用情報を子どもが請求できますか
法定相続人であれば故人の信用情報を請求できる扱いになっています。ただし請求できる範囲や必要書類は機関ごとに異なるため、事前に各機関の案内で確認してから書類をそろえてください。
開示にかかる費用はどのくらいですか
機関と請求方法(インターネット・郵送・窓口)によって手数料が変わります。金額は各機関の公式案内で最新の情報を確認してから請求することをおすすめします。
調査が3か月に間に合わないときはどうすればよいですか
家庭裁判所へ申し立てて熟慮期間を延ばす方法があります。判断が難しいケースが多いので、期限が近いのに調査が終わらないと感じた段階で専門家に相談すると安全です。
相続放棄をすると借金は誰が引き継ぎますか
ある順位の相続人が全員放棄すると、返済義務は次の順位の親族へ移ります。自分が放棄する前に、次に相続人となる親族へ連絡しておくとトラブルを避けやすくなります。
参考・出典
- 裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
- 国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm

